今回はガソリンスタンド(給油所)のお話 給油所はすこし特殊な建物で普通あまり設計する機会のないもののひとつです。 私はある計量機メーカーさんとお付き合いが永く今まで数多くの給油所を設計する機会に恵まれました。
ガソリンを注ぐ事はあまりにも日常的ですが、その工事中の状態はふつう目にすることは無いと思いますので それがどんなふうになっているのかを、特に地面の下の様子をご紹介したいと思います。
昔は10 KLタンクが普通でしたが20、30、と大きくなって今では50 KLまで大きくなってきました。 この中が2,3ヶ所に仕切られていてガソリン、灯油などに分けて貯蔵されます。 これが2本も3本も据え付けられているのはかなり壮観です。
この写真は50 KL地下タンク かなり大きなもので長さ11.6m,直径2.4m、1本でガソリン5万リッター。 普通街中で見かけるタンクローリー車は18 KLですからその3台分が入ります。 通常2本は埋め込まれます。
給油所の土間の下にはローリー車からこのタンクへ接続する配管、 タンクから計量機への配管(1つの計量機へハイオク、レギュラー、ディーゼルと3系統の) が接続されます。その上に電気配線の配管やセルフ給油の場合は消火剤の配管がつながれます。 ですから、計量機が4台もあるスタンドでは足元の土間の中は配管だらけということになっています。
セルフの計量機の前であなたが火事を起こした場合、足元の孔から泡消火剤が勢い良く噴出し、消火してくれることになっていますのでご安心を。
給油所は危険物をあつかうがゆえにかなり厳しい規制がかかっていましたが、だんだんに規制も緩和されいまやセルフスタンドが普通になってきました。 この例では同じ場所に建て替えたのですが以前は従業員が給油、新設になってセルフに生まれ変わりました。 昔に比べていまふうな感じがしませんか?いまこの業界は競争がはげしく、昔に比べ工事費が低く抑えられています、機能的であることに徹し、これ以上出来ない所まで贅肉をそぎ落とした結果の姿です。
ひとりでポツンと立っていると言った感じの計量機1個の給油所。 これ以上簡潔な給油所もありません。コンビニの敷地の中に出来ました。 同じ敷地の中で他の営業をするというのはまだ少数派ですが、前にも1度ありました。 津和野で、そのときは本屋さんでした。 規制が緩和されこんな形でも出来るようになっています。
給油所の建物というものは既製品があってただそれをもってきて据えるものだと思っていました、という人がいて絶句しました。 だいたい似たような建物ですからそう思うのも無理ないと思いますが、そんな物はないしこれからも出来ないでしょう。 建築物というものは敷地形状、道路との接道形状、方位、区域の規制、建物に対する要望などなど、どれひとつ同じものはありません。 気に入った建物をまねしようとしても出来ないのはこのためです。 機能が単純な給油所でさえ、さらにこの上に運営方針の違いや要求される設置設備の違いからその土地に最適な形をもとめて知恵をしぼりにしぼって出来上がっているのです。 ハウスメーカーなどに回転したり反転したりしてその敷地にあわせることが出来るプラン集を見かけますがそうした結果出来上がる建物はどこかに無理があるか、もっとよい型が他にあると考えたほうが良いでしょう。
閑話休題
給油所の仕事でいつも思うのは関係者は全員プロだということです。通常の打ち合わせではむしろ全員が素人というのが普通。 打ち合せの席は皆この道のプロで素人という人はいません、ですから物事が小気味良く 確実に決まって行きます。なにごとも真剣でスピーディです。 工期が短いのが特色ですからあれこれ言うひまもありません。 その分設計期間も短いのでこれはこれで大変ですがこのスピード感に爽快感さえ感じます。 ただ、今は新設スタンドは少なく、既存のスタンドをセルフに改造する物件ばかりなのがなやみのタネですが。 いつもオープンした時ガソリンを満タンに注ぎ、洗車をすることにしています。 設計上、工事上見落としていた色々な事へのせめてもの罪滅ぼしの意味もこめて。